東京都世田谷区を中心に、
産前産後支援やおでかけひろば事業を運営している「NPO法人子育て支援グループamigo」が
東京都保健福祉局「子供が輝く東京・応援事業」の助成を受けて実施するプログラムです。

何でもない声かけが行き交う町
みんなの思いやりや優しさは自然に行き交う景色
手伝って欲しいことを素直にお願いできる景色
自分の人生を思いっきり生きる姿があふれる景色

淵上周平

なにも求めず、なにも求められない場所を求める

今の活動に至るまでの生い立ち、プロフィールを教えてください。

神奈川県の座間市で生まれました。
典型的な郊外の町で、父は会社員、母はピアノの先生。ピアノ教師の子どもによくあるパターンで中1くらいまでバイオリンを習っていました。小学校まではけっこう賢い子だったので(笑)、中学受験をして鎌倉の学校に進学しました。
けっこうな進学校だったので同級生たちがほんとうに頭が良くてですね、「エリート路線は無理だな」と早々に分かってしまい、ぐぐぐっと芸術とか哲学とか音楽とか、そういう方面に一人で進んでいって。「女の子と遊ぶヒマなんかあらへん!」というのはタナカカツキさんのマンガのセリフですが、そんな感じで遊んでいました。女の子にはただ縁がなかっただけですけど(笑)。
今思うと、思春期を過ごした学校はカトリックの一貫校で、ほんとうに神さまに守られてたような感じでした。そういう場所に通いながら、こっそりと過激な音楽や思想、テクノロジーを楽しんでました。
大学では、ほんとうにすごいヒトだなあという先生にご縁があって、いっしょに山形の山奥で田植えをしたり、就職活動もしないでインドで合宿したり、いろいろな大人に会ったりして、世界の面白さとつまらなさ、ほんものと偽物、古くて大切なものと新しくてくだらないもの、愛すべきもの、そんなことを見極めるきっかけを教えてもらいました。ラッキーでした。
そのまま大学院にでも行こうと軽い気持ちでいたら案の定落ちまして(笑)、出版社に潜り込ませてもらって社会人をなんとなくはじめました。これは不幸のようで幸いだったなと今になると思えることで、あのまま大学にいたらやばかったと思います。先生との縁もそうだし、大学追い出されるのもそうだし、いろんなヒトとの出会いも含めて、運がよかった。
出版社の後はウェブとか田舎の町おこし、ソーシャル界隈とか、そのあたりで仕事してました。僕は基本的にミーハーなので、インターネットの初期とか、ソーシャルやローカルが面白くなってくるタイミングとか、新しい動きがはじまるところに吸い寄せられるというか、鼻が利くところがあって、そういうワクワク感に弱いですね。
そんなこんなでいまは一男一女の父になりましたが、面白い保育をしている無認可園に預けました。預けましたというより、親もコミュニティの中にがっつり入り込んで暮らしを共にしていくような保育園で、これはずいぶん影響を受けましたね。保育とか教育っていうのはほんとうにサービスではなく贈与なんだということがよくわかりました。
現在は、arTeaTreaTの会場にもなる「HIRAYA GOTOKUJI」を、友だちとシェアでやっています。学童をやろうと思ってもう一年くらい経っちゃってまだできてないんですが(笑)、「家族」や「屋根」の“拡張”みたいなことをしたいなと。学校でも家でもない場所で、子どもも大人も「確実に油断できる場所」になればと思って、少しづつやっているところです。

arTeaTreaTの活動を通して、どういう世界になっていったらいいと思いますか?

「確実に油断できる場所」というのは、早くしろとか宿題やれとか、いい子にしろとか、結果を出せとか成長しなさいとか、そういうことを急き立てられない場所のことです。これは預けていた保育園で学ばせてもらったことですが、見て、待って、見守っていると自然に動き出すものがあるんですね。役に立つことや効率を上げることを、自分も含めてですが大人たちは当然のようにいいものと思っていますが、それはすこし了見が狭いんじゃないかなと思うようになりました。
arTeaTreaTにも参加しているダウン症の長女は、いっしょにいるとほんとうに面白くて幸せな気分になるんですが、最近彼女が小学校に入りまして、その入学式に行ったんですが、まあやっぱり大人たちの祝辞とか、退屈なわけです。大人でも退屈なんだから、子どもたちももちろん退屈なんですが、それを最後までいい子に聞いてなくちゃいけない。娘は保育園でだいぶ自由に、自然にさせてもらっていたので、やっぱりがまんできてなくて、でもまあしょうがないんですけど、式場に最後まで居させられる。その姿を見てて、こういう時間もしょうがないけど、なーんにも縛られたりやらされたりしない場所が、娘だけじゃなくてハンディのあるすべての子たちにもたくさんあったらいいなあとあらためて感じました。
分かりにくいかもしれないけど、arTeaTreaTの時間は、何も求められない時間になったらいいと思います。中高の時に丘の上の学校で護ってもらったみたいに、親切にされ過ぎることもなく、その場でボーっとすることを許されている、そんな感じでいられる時間を護ってあげられたらと思っています。
ウチの愉快な娘といっしょに遊びながら、自分の娘だけが子どもじゃないし、自分の親だけが親じゃないような関係性を作っていけたら楽しいんじゃないかと考えています。


パーソナルな質問

Q:あなたにとってarTeaTreaTな一曲は?
 「充たされた子ども」高木正勝
Q:あなたの必殺技・特技は?
恋愛ベタなヒトが意中のヒトに送る恋文LINEの添削
Q:わたし実は○○なんです
宝塚好き
Q:マイブーム
釣り
Q:好きな漫画
『アラベスク』山岸凉子、『化け猫あんずちゃん』いましろたかし、『コジコジ』さくらももこ
Q:好きな匂いを一つ二つあげて下さい。
春の朝のにおい
Q:もしできたら「やさしさ」を定義してみて下さい。
ほんらいのあり方を認めたり支えたり忘れてたら思いだすきっかけをつくってあげたりすること

淵上周平
HirayaGotokuji代表 / 編集者