【おしゃべり会レポート】~パートナーシップのハナシ〜

2021年 11月20日

11月6日(土)の20時から開催されたオンラインおしゃべり会の様子をレポートします。


テーマは「夫婦のパートナーシップ」。
私たちAETでは、障害のある子と親御さんが、家族以外の人たちとなるべく気軽に、だんだん深く関われるような場作りをしたいと考え、数年にわたって、オフライン、オンラインのイベントを行ってきました。その中で気付かされたのはやはり、「今まで話せなかったことを話せた、聞けなかったことを聞けた」という親御さんの声でした。そんな場が日常的にたくさんあれば、「自立とは依存先を増やすこと」(熊谷晋一郎さんの言葉)の通り、いろいろな意味でラクになるはずだ、という考えで、おしゃべり会を開催しました。

司会進行はAETクルーのみわさんと淵上。それぞれの話しをシェアするかたちではじまりました。
ダウン症の娘と生活をする淵上は、夫婦とも自営業でふたりとも家にいる時間が(コロナ禍で特に)長く、比較的コミュニケーションをする時間が多い。その中で、あれやこれやと家事全般をシェアしていて、わりとバランスのよいパートナーシップを続けていること。でもご飯の支度や子供の学校周りの雑務など、妻まかせにしていることもあって、そこは気になっていること。本人的には、「事務が苦手」という特性があるとのことで、すべての家の仕事をシェアするのは現実的ではないというのが現状のようです。そのあたりのバランスは、コミュニケーション量で担保しているということでしょう。また、家族だけで閉じていない子育てが、保育園時代の仲間とできているかもしれない、というところもポイントでした。障害のある子の子育ては、ともすると家族内だけで自閉してしまいがちなところがあります。親族にもかんたんなヘルプを求めづらかったり、夫が多忙で妻だけがすべての責務を背負っているというパターンもよくある話し。そんな中で淵上家は、ダウン症のことも子どものケアも、比較的近所の友人たち、保育園の仲間たちとシェアできている部分があって、とても助かっているようでした。


ゲストスピーカーとして登壇していただいたKさん。こちらもダウン症の娘さんとお兄ちゃんの4人家族。パパは毎週のように全国を周る仕事で、なかなか家のことに関わる余裕がなかった数年間。忙しさもあって精神的にも落ち込んでしまい、会社も3ヶ月休むことに。そこでママは「わたしたちはチームK(パパの名前)だから」と言ってくれたこともきっかけになり、働き方を変え、時間の使い方もシフトすることにしたそうです。そして子どもたちの生きる環境を家庭や学校だけではなくもっと開いてあげたいと考え、お兄ちゃんの学校のPTAにも積極的に参加したり、近所でやっていたAETのイベントにも来てくれるようになりました。興味深かったのはご夫婦お二人とも九州の出身ということもあってか、基本的にはパパを立てるというのが家のあり方の日常で、ご飯や家事をママがおおかたこなすことについては、特に違和感が無いとお二人ともおっしゃっていたこと。もちろんいわゆる「お父さんがぜったい偉い」といったようなティピカルな関係性ではありませんが、最近の若い世代に増えている対等な男女関係とはまた違う、パートナーシップの多様性を感じました。


家の運営の仕方はほんとうに多様です。特に障害のある子と共に生きる生活では、家事や雑務、心配事もふつうよりは多いかもしれません。きょうだい(障害のある子の兄弟姉妹のこと)のケアも大事。そんな中でもあらためて重要なのは、抱えている気持ちや悩み、喜びを家族と、そして家族の外とも共有することだとあらためて感じました。
AETではそうしたおしゃべりの場を大事にしていきたいと考えています。
まだまだおしゃべりしづらい方もいらっしゃると思いますが、これからも定期的におしゃべり会を開催していきたいと思いますので、ご関心のある方は次回をお楽しみにしていてください!

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