【「静岡きょうだい会」代表・沖侑香里さんに聞きました①】

2022年 04月20日

いっしょに考えてみよう

「きょうだい児の気持ち」

第1回: 社会から抜け落ちやすい「きょうだい」の視点

沖 侑香里(おき ゆかり)さん

病気や障害のある方の「きょうだい」のための自助グループ「静岡きょうだい会」代表。5歳下の妹さんが重症心身障害者で、その経験から「きょうだい」が抱えている思いや悩みや、将来への不安などを語り合う座談会、制度や福祉サービスを学び合う勉強会などを開催。「きょうだい」へのサポートを通じて、誰もが生きやすい社会を目指し活動をしている。

https://shizuoka-kyodai.amebaownd.com/

「きょうだい」の視点が抜け落ちている

病気や障害のある兄弟姉妹がいる人のことを「きょうだい」、もしくは「きょうだい児」と呼び、各地でサポートの輪が広がっています。ひと言に「きょうだい」といっても、性格や育ってきた環境は様々ですから、すべてのことが当てはまるとは限りませんが、「きょうだい」との日々の関わり方のヒントや「きょうだい」が感じていることを想像する時に役立てられたら……という思いでお話させていただきます。

私も「きょうだい児」です。5歳下の妹が進行性の難病による重症心身障害者で、幼少期からケアが必要な状態でした。私は25歳の時に母を病気で亡くし、それを機に妹の保護者の役割を担い、2年後に妹を看取りました。

そんな立場から、これまでいろいろな人と関わる中で、「きょうだい」の視点が社会から抜け落ちていることを痛感し、「きょうだい」の立場からの発信をする活動をしています。

「きょうだい」と親御さんとの立場性の違い

まず、親御さんが「きょうだい」のことを考える時に共有しておきたいのは、親御さんと「きょうだい」との立場性の違いです。大きくは2つあります。

1つ目は、病気や障害がある家族と出会うタイミングです。「きょうだい」と親御さんとでは、そこまでの人生経験が圧倒的に異なります。例えば、親御さんも子どもに障害があるとわかった時は不安だったりショックだったり、何かしらの感情を持ったはずです。ですが、病院の先生に相談したりネットで調べたり療育で会った親同士の繋がりの中で情報交換をしたりして、徐々に気持ちを整理していったのではないかと思います。

ですが、子どもの場合は、まず自分からSOSを出すことが難しいです。自分自身の状況を捉えたり、自分の気持ちをしっかりと言語化して上手に伝えることができません。「きょうだい」がそういう状況にあることを理解した上で、周囲の大人が必要なサポート(例えば、話を聞いたり思いっきり遊んだり)をすることが大事になってくるのです。

親は半生、「きょうだい」は一生

2つ目は、親亡き後のことです。この状況は「親は半生、「きょうだい」は一生」という言葉で表されることもあります。

親御さんよりずっと長く、障害があるお子さんと共に同じ時間を生きる「きょうだい」は、親御さんが思っている以上に、将来についていろいろなことを感じています。ですから、親御さんと「きょうだい」とでは見えている世界がちょっと違うかもしれない、ということを理解して接することが大事です。

また、「きょうだい」も成長発達の段階で感じ方が変わったり、進学や就職、結婚などのライフステージによって状況が変わったり、その時その時、悩みが変化していきます。ですから、「きょうだい」の悩みに向き合うには長期的な視点が必要です。何か一つのことが解決したからもう大丈夫ではなく、状況ごとにどう向き合っていくのか考える。今は特に困っていなくて問題がなさそうに見えても、「きょうだい」はどういう風に感じているんだろう、というまなざしを向ける、という視点が「きょうだい」と接する時には大切なポイントだと思います。

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